仕事でなく 

家庭サービスでもなく

自分だけのために

のんびり旅をする

羨ましい限りの初老の男がいた



歴史を辿るように

古都や寺社をめぐり

時間と空間を思いのままに

行ったり来たり

誰も邪魔をするものはいない



何も生み出さない

何の役にも立たない

誰も話し相手のいない

自己満足だけの旅

最高に贅沢な時間



あれやこれや悩んでいないで

日常のしがらみとは

さっさとおさらばして

夢想の旅へ出掛けてしまえ

心を裸にして



そこで出会う風景や建物の中で

どれだけたくさんの人が夢を見て

どれだけたくさんの人が

死んでいったことだろう

想像してごらん



非日常の時空間へ飛び出して

できるだけたくさんの人の

人生を生きることができれば

濃密な時間を過ごすことができる

小説家のごとく





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