天空の城から見下ろす眺めは

こんなにも美しいものか

都会を独り占めしたような夜景に

ビル・エヴァンスはよく似合う



ここに昇りつめるまでに

いったいどんな道を歩んできたのだろう

愛するひととワイングラスを傾けながら

微笑んでいるきみは微塵の苦労も感じさせない



ぼくの積み上げてきた砂上の楼閣からは

なにも一望することはできないのに

林立する摩天楼にうずもれて

ただ見上げるばかりだ



うっとりするような夜景を見ながら

ガラスに映るあさましい自分の影を感じて

どうしようもなく情けない気分になる

天空で聴くエヴァンスはやけに乾いていた





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