「おとうちゃん」

「おとうちゃん」と

きみが甘えた声で呼ぶ



ぼくには娘はいないけれど

まるで娘に

甘えられたかのように



だらしなく

全身から力が抜けて

愛おしさがこみあげる



ほんとうはきみは

ぼくの娘だったのかな

ぼくはきみの「おとうちゃん」



「おとうちゃん」

「おとうちゃん」と

きみが甘えた声で呼ぶ



昭和じゃあるまいし

「おとうちゃん」はないだろう

あなたとかパパとか



でも、やっぱり

「おとうちゃん」なんだな

きみにとってぼくは



ぼくにとってきみは

いくつになっても変わらない

可愛らしいひとなんだ





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